「あれ、どうなった?」と聞いて回る会社で起きていること

頼んだ仕事が途中で止まり、社長が毎回「あれ、どうなった?」と聞いて回る。困って進捗管理表を作っても、最初の数週間で更新されなくなる。進捗管理を調べる人の多くは、この状態にいます。

よく出回っている進捗管理の方法は、道具を選び、担当・期日・進捗率・状態・備考といった列を持つ表を作る、というものです。表そのものは作れます。止まるのは、その表を回す決まりが無いからです。列が多いほど書く手間が増え、「状態」の欄には「確認中」「先方待ち」が並び、期日は過ぎても誰も困らない。表は見える化されていても、案件は進んでいません。

この頁では、道具の比べではなく、大和ViSiON を運営する株式会社命が実際に決めた案件の回し方を、進捗管理の欄と「待ち」の扱いに絞って書きます。

案件の欄は「誰が・何を・証拠」の 3 つに絞る

株式会社命では、案件ごとに「次の一手(手番)」を 1 行で持っています。その手番の欄は「誰が・何を・証拠」の 3 つだけです(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)。

「誰が」は次に手を動かす人か役、「何を」は次の一手、「証拠」はその一手が終わったと誰が見ても分かる物(送った文面・出来上がった頁・届いた返事など)です。進捗率や「対応中」のような状態の言葉は持ちません。証拠が在れば次の手番に進み、無ければまだ終わっていない。それだけで、今どこまで進んだかが読めます。

よくある進捗管理表の列と、運営会社での扱い
よくある列運営会社での扱いそうした理由
担当「誰が」として残す次に動く人が一人に決まらないと、誰も動かない
タスク名「何を」として、次の一手だけを書く案件全体の名前ではなく、今やる一手が読めるように
進捗率・状態持たない。代わりに「証拠」終わったかどうかを、言葉ではなく物で確かめる
期日置かない(優先の順はあってよい)期日は、やらなくてよい言い訳になる
待ちの理由社長・社外・他の案件の 3 つだけを認めるそれ以外の「待ち」は、待っているのではなく止まっている
時刻の決まった作業人が待たず、機械に予約して案件を閉じる時刻まで案件を開けておくと、それが待ちの言い訳になる

出典: 株式会社命の判断の記録(社の実測 2026-09-24)。「よくある列」と「そうした理由」の列は大和ViSiON 編集部がまとめたもの

期日を置かない — 期日は「やらなくてよい言い訳」になる

以前は、手番に「いつまでに」の期日を持たせ、期日が今日より先なら「時間を待っている」案件として扱っていました。これを社長が退けています。社長の言葉は「期日って概念いらない。優先順位はあってもいいかもしれないが、やらなくてよい言い訳になる」でした(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)。

期日があると、期日までは手を付けなくても「遅れていない」ことになります。進捗管理表の上では緑のまま、実際には何も進んでいない案件が溜まります。期日を外すと、案件は「今、誰かが次の一手を打っているか、決まった理由で待っているか」のどちらかしか無くなります。並べる順が要るなら、期日ではなく優先の順で並べます。

なお、課題管理とはで書いた「課題から出た To-Do(担当 1 人・期限 7 日)」とは別の物です。あちらは週 1 回の経営の会で終わったかを確かめるための区切りで、課題を一つ解く小さな仕事に付けます(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-10-26)。この頁の手番は、相手や他の仕事が絡む案件を終わりまで運ぶためのもので、期日を置かず、待ちの理由を 3 つに限って止まらないようにしています。

「待ち」と認めるのは、社長・社外・他の案件の 3 つだけ

進捗管理が崩れるいちばんの入口は、「待ち」を何でも認めることです。株式会社命では、案件が待っていると認めるのは、次の 3 つのどれかの時だけと決めています(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)。

  • 社長 — 社長にしか決められない事を、社長に上げて答えを待っている(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)
  • 社外 — お客様や取引の相手など、外からの返事を待っている(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)
  • 他の案件 — 別の案件が終わらないと進めない。ただし、指している案件がまだ動いている場合に限る(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)

「時間を待っている」は待ちに入りません。「担当が忙しい」「そのうちやる」も入りません。どれにも当たらない案件は、待っているのではなく止まっています。止まっている案件は、その場で次の一手を打つ対象です。

そのうえで、待っている案件も放っておきません。待っている案件は、期日を過ぎた・過ぎていないに関係なく、進みがあるかを全部確かめる、と決めています(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-10-18)。相手の返事が来ていないか、指している案件が終わっていないかを、毎回見に行きます。

時刻が決まった最後の一手は、機械に予約して閉じる

「来週の月曜 9 時に送る」のように、最後の一手の時刻だけが決まっている案件があります。こうした案件は、人が座って時刻を待つのではなく、機械(予約して実行する仕組み)に撃たせることにして、案件そのものは閉じます(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)。開けたままにしておくと、それが「待っている」案件の数を増やし、本当に止まっている案件が見えなくなるからです。

見回り役を立てず、毎朝の会で全部の案件を終わりまで押す

案件が止まらないようにするには、止まった案件を見回る役を別に立てる手もあります。株式会社命でも、運営を任せた AI の担当はその案を推しました。社長はこれを採らず、経営の進行役の AI エージェントが毎朝の会の中で全部の案件を終わりまで押す形にしました(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-30)。

自分たちだけでは進められない案件、たとえば相手の返事を待つ案件にだけ、定期の見張り(決まった間隔で返事が来たかを確かめる仕組み)を立てます(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-30)。見張りは、待ちの理由が「社外」の案件のための道具で、全部の案件に付ける物ではありません。

この形は、会社の決まりの紙にも書いてあります。日々の運用で人の確認を待つ設計にしない。人に上げた事も放置せず、知らせ続ける。毎朝「受付・社長の手・待っている」の 3 つを全部見る(株式会社命の規則の紙・社の実測 2026-10-28)。新しく来た物、社長の手にある物、待っている物を毎朝ひと通り見れば、誰も見ていない案件は残りません。毎朝の会と週 1 回の経営の会の分け方は、経営会議の進め方に書いています。

往復が続く案件は、要る判断を先にもらっておく

相手とのやり取りが 2〜3 往復する案件は、返事が来るたびに社長に聞いていると、そのたびに止まります。株式会社命では、終わりまでに要りそうな判断を想定問答として先に社長からもらっておき、想定の外のことが起きた時だけ社長に仰ぐことにしました(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-30)。

見張りも、相手から返事が一度来たところで終えるのではなく、案件が終わるまで続けます(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-30)。先にもらった判断で返せる返事は、その場で返して次の往復に進みます。社長の手を通るのは、本当に新しい判断が要る時だけになります。

「誰が判断してよいか」を先に渡しておく考え方は、権限委譲とはで、判断を一件ずつ渡していく進め方として書いています。

進捗管理の見える化を始める手順

ここまでを、自社で進捗管理を始めるときの手順にすると次のとおりです。道具は表計算でも、タスク管理の道具でも構いません。

  1. 案件ごとに、次の一手を 1 行だけ書く。欄は「誰が・何を・証拠」。進捗率や状態の欄は作らない
  2. 期日の欄を外す。並べる順が要るなら、優先の順で並べる
  3. 待ちの理由を 3 つに限る。社長・社外・他の案件(まだ動いている物)。どれにも当たらない案件は「止まっている」と書き換え、次の一手を打つ
  4. 時刻の決まった一手は予約して閉じる。人が時刻まで案件を抱えない
  5. 毎朝、待っている案件も含めて全部を見る。相手の返事待ちの案件にだけ、定期の見張りを付ける
  6. 往復が続く案件は、要る判断を先に社長からもらう。想定の外だけを社長に上げる

案件が止まらずに回るようになると、社長が「あれ、どうなった?」と聞いて回る必要が無くなります。社長が全部を見ていなくても回る会社の条件は、社長がいなくても回る会社の 5 つの条件にまとめています。

よくある質問

進捗管理とは何ですか

頼んだ仕事や案件が今どこまで進み、次に誰が何をするかを分かる形にして、終わるまで止めずに押していくことです。表を作ることそのものではなく、止まった案件をすぐ見つけて次の一手を打てる状態を保つことが目的です。

進捗管理の方法は、何から始めればよいですか

案件ごとに次の一手を「誰が・何を・証拠」の 1 行で書くことから始めます。進捗率や状態の欄は作らず、終わったかどうかは証拠で確かめます(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)。

進捗管理表に、期日は要りませんか

運営会社では、案件の手番に期日を置いていません。期日があると、期日までは手を付けなくても遅れていないことになり、やらなくてよい言い訳になるからです(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-24)。並べる順が要るなら、優先の順で並べます。

プロジェクトの進捗管理で、相手の返事待ちが続くときはどうすればよいですか

相手の返事を待つ案件にだけ定期の見張りを付け、返事が来たかを決まった間隔で確かめます。往復が続く案件は、終わりまでに要る判断を先に社長からもらっておき、想定の外のことだけを仰ぎます(株式会社命の判断の記録・社の実測 2026-09-30)。

進捗管理の見える化には、どの道具を使えばよいですか

表計算でも、タスク管理の道具でも構いません。道具より先に、欄を絞ること、待ちと認める理由を決めること、待っている案件も含めて毎朝全部を見ることを決めておくと、どの道具でも回ります。

出典

  • 株式会社命の判断の記録(期日の考えは要らない・優先の順はあってよいが期日はやらなくてよい言い訳になる/手番は「誰が・何を・証拠」の 3 欄/待ちと認めるのは社長・社外・他の案件だけ/時刻の決まった最後の一手は機械に撃たせて案件を閉じる・社の実測 2026-09-24)
  • 株式会社命の判断の記録(見回り役を別に立てる案を採らず、毎朝の会で全部の案件を終わりまで押す/自分たちで進められない待ちにだけ定期の見張りを立てる・社の実測 2026-09-30)
  • 株式会社命の判断の記録(往復が続く案件は、終わりまでに要る判断を想定問答として先にもらい、想定の外だけ仰ぐ/見張りは案件が終わるまで続ける・社の実測 2026-09-30)
  • 株式会社命の判断の記録(待っている案件は、期日を過ぎた・過ぎていないに関係なく、進みがあるかを全部確かめる・社の実測 2026-10-18)
  • 株式会社命の判断の記録(課題から出た To-Do は担当 1 人・期限 7 日で、週 1 回の経営の会で確かめる・社の実測 2026-10-26)
  • 株式会社命の規則の紙(人の確認を待つ設計にしない・放置せず知らせ続ける・毎朝「受付・社長の手・待っている」の 3 つを全部見る・社の実測 2026-10-28)