経営会議とは — 毎朝の捌きと分けて週 1 回、決まった順で回し、決まらない事を残さない
経営会議とは、数字と目標の舵取りを、日々の課題の捌きとは別の場で、決まった間隔と順で決める会です。
- 定例会議が無駄になるのは、その日の困り事の捌きと、会社の舵取りが同じ場に混ざるから
- 運営会社は、毎朝の捌きの会に重ねる案を退け、数字の表と 90 日の目標を見る会を週 1 回、別に持った
- よい知らせ・数字の表・90 日の目標・課題の解決・終わりの順で回し、決まらない事は社長が決めるか「決めるための To-Do」にして、保留を残さない
定例会議が無駄になるのは、捌きと舵取りが同じ場にあるから
経営会議を調べると、目的・議題・資料のひな形が多く出てきます。どれも大事ですが、ひな形を整えても「毎週集まるのに何も決まらない」「話が昨日の困り事で終わる」という悩みは残りがちです。
原因の多くは、性格の違う二つの話が同じ会に入っていることです。一つは日々の捌き。今日の問い合わせへの返し方、遅れている作業の手当てなど、その日のうちに片づけたい事です。もう一つは舵取り。数字が線を割っていないか、この先の目標に向かって進んでいるかを見て、向きを直す事です。
二つが同じ場にあると、目の前の急ぎの話が必ず先に来ます。舵取りは「時間が余ったら」に回り、余らないまま会が終わります。定例会議が「無駄」と言われるのは、会を開くこと自体より、舵取りの時間が捌きに食われていることのほうが大きいのです。
毎朝の捌きと、週 1 回の経営の会を分ける — 運営会社の決め方
大和ViSiON を運営する株式会社命では、日々の課題は毎朝の会で捌いています。そこへ経営の会を足すかを決める時、用意された案は「会を増やさず、毎朝の会に重ねる」でした。社長はこの案を採らず、数字の表と 90 日の目標の舵取りを、日々の捌きと分けて週 1 回の場として持つことを選びました(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。社内ではこの会を「評定」(週 1 回の経営の会)と呼んでいます。
会を一つ増やすのは、手間が増えるように見えます。それでも分けたのは、毎朝の会に重ねると、上に書いたとおり舵取りが捌きの後ろに回るからです。分けておけば、週 1 回の会では日々の困り事を持ち込まず、数字と目標だけを見られます。
| 比べる所 | 毎朝の会(日々の捌き) | 週 1 回の経営の会(舵取り) |
|---|---|---|
| 扱う事 | その日の課題 | 数字の表と 90 日の目標 |
| 開く間隔 | 毎朝 | 週 1 回(運営会社では水曜) |
| 問い | 今日これをどう片づけるか | 会社は進むべき向きに進んでいるか |
| 課題が出た時 | その場で捌く | 決まった順の中で、特定・議論・解決にかける |
出典: 社の実測 2026-10-26(株式会社命の判断の記録・週 1 回の経営の会を毎朝の会と別に持つ/曜日を水曜にした)。「問い」の行は大和ViSiON 編集部がこの分け方の読み方として書き足したもの
経営会議の進め方 — 毎回同じ順で回す
分けた会を毎回同じ順で回すことも、同じ日に決めました。順は次のとおりです(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。
| 順 | 段 | 誰が・何をするか | 課題に回る物 |
|---|---|---|---|
| 1 | よい知らせ | 進行役が 1 週間の記録を読み込んで話す | — |
| 2 | 数字の表(スコアカード) | 進行役が報告する | 線を割った行 |
| 3 | 90 日の目標 | 社長と話し、順調か注意かを決める | 注意になった目標 |
| 4 | IDS(特定・議論・解決) | 上で回ってきた課題を一つずつ特定し、議論し、解決する | — |
| 5 | 終わり | 会を閉じる | — |
出典: 社の実測 2026-10-26(株式会社命の判断の記録・週 1 回の経営の会の進め方)
この順の要は、2 と 3 が「課題を拾う段」で、4 が「課題を解く段」になっていることです。数字の表で線を割った行と、90 日の目標で注意になった物だけが課題に回り、IDS にかかります(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。会で議論するのは、数字と目標から出てきた課題に限られる、ということです。
こうしておくと、「何を話すか」を毎回決め直す必要がありません。議題は数字の表と目標の状態から自然に決まり、思いつきの話題で時間が延びることも減ります。運営会社でもこの会は、数字の表と 90 日の目標の課題を IDS で回す場と位置づけています(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。
最初によい知らせを置くのは、すぐに線を割った数字の話から入ると、会の空気が責める側と責められる側に分かれやすいからです。1 週間で進んだ事を先に確かめてから、直す所の話に入ります。
決まらない事を残さない — 保留を作らず、To-Do にする
経営会議でいちばん重い無駄は、「次回までに考えておきましょう」で終わる議題です。翌週も同じ話が出て、また結論が出ず、議題が積み上がっていきます。
運営会社では、会で決まらない時は社長が決めると定めました。どうしても決められない時も「保留」にはせず、決めるために要る事を To-Do にします(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。To-Do には、やる人と終える時が付きます。翌週の会では「まだ考え中」ではなく、「決めるための材料がそろったか」を確かめるところから始められます。
課題の書き方にも線を引きました。課題を書き込む入口では、I(何が問題か)・D(議論の要点)・証拠の三つを必ず書く形にしています(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。「なんとなく調子が悪い」では課題として受け付けず、何が問題で、何を見てそう言えるのかがそろって初めて会にかかります。証拠の無い課題は、議論が感想の言い合いになり、決まらないまま次週に回りがちだからです。
| 比べる所 | 保留にする | 決めるための To-Do にする |
|---|---|---|
| 会の終わりに残る物 | 「次回検討」の一行 | やる人と終える時が付いた作業 |
| 翌週の会の始まり | 同じ議論のやり直し | 材料がそろったかの確認 |
| 決めきれない時 | そのまま持ち越す | 社長が決める |
出典: 社の実測 2026-10-26(株式会社命の判断の記録・会で決まらない時は社長が決め、保留を作らず決めるための To-Do にする)。表の比べ方は大和ViSiON 編集部がまとめたもの
決めた事を誰が見ても追えるように残しておくことは、社長がひとりで判断を抱え込まないためにも効きます。判断を記録で受け止める考え方は経営者の孤独とはに、一件ずつ判断を仰ぐ紙の整え方は稟議書の書き方にまとめています。
経営会議の資料は、作らずに当日読み込む
経営会議の資料づくりは、会そのものより時間がかかることがあります。担当者が前日に数字を集めて表にし、報告の文を整える。その下準備の重さが、会を続けにくくしている会社も少なくありません。
運営会社では、会の下準備をする係を置きませんでした。進行役の AI エージェントが、当日に 1 週間の記録を読み込み、よい知らせと数字の表の報告をします(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。日々の動きが記録に残っていれば、資料は「作る物」ではなく「その場で読み出す物」になります。
会のための専用の画面も、まだ作っていません。運用しながら要る日が来たら頼むことにして、課題と To-Do を書き込む道具の入口だけを先に作りました(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。見た目の整った資料や画面より先に、課題と To-Do が漏れずに入る口を用意した、ということです。週ごとの記録をどう書けば読み込みやすいかは、週報の書き方が参考になります。
判断の材料集めや報告まで AI エージェントが受け持ち、人は決める所に集中する。こうした任せ方の全体は、柱の頁のAI 経営とはと、AI 駆動経営とはに書いています。
曜日と進め方は、会社ごとの置き場に一枚で持つ
運営会社の会は水曜に開きます。週報がそろった後の月曜を推す案もありましたが、社長は水曜を選びました(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。
ここで大事なのは、曜日そのものより置き場所です。曜日は会社ごとに決められる所に置き、会社の規則を書いた紙の「評定(週 1 回の経営の会)の曜日」の欄に入れました(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。その規則の紙には、今「評定の曜日: 水曜」の一行が在ります(社の実測 2026-10-26)。曜日を変えたくなったら、この一行を書き換えるだけで済みます。
進め方も同じ考え方です。会の順は、会社ごとに育てる共有の置き場に一枚で置き、進行役の手順書には「会の前に必ず読む」の一行だけを書きました(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。進め方を手順書に直接書き込むと、順を変えるたびに手順書を直すことになり、どれが今の正しい順か分からなくなります。一枚の置き場を正にしておけば、進め方を育てても、進行役は毎回その一枚を読むだけです。
自社で経営会議を始める手順
ここまでの決め方を、自社で始める順に並べ直すと次のとおりです。
- 日々の捌きの場と、舵取りの場を分ける。今ある定例会議が日々の困り事で埋まっているなら、数字と目標を見る会を別に持つ
- 会で見る物を二つに絞る。数字の表と、この先の目標。この二つから外れた話は、日々の捌きの場へ回す
- 毎回同じ順で回す。よい知らせ、数字の表、目標、課題の特定・議論・解決、終わりの順を変えない
- 課題は「何が問題か・議論の要点・証拠」をそろえて書く。証拠の無い課題は会にかけない
- 保留を作らない。決まらない時は社長が決めるか、決めるための To-Do にして、やる人と終える時を付ける
- 曜日と進め方は一か所に置く。規則の一行と、進め方の一枚。変える時はそこだけを直す
資料や専用の画面は、回し始めてから要る所が見えてきます。最初は、決まった順と、課題と To-Do が漏れずに入る置き場だけで足ります。
よくある質問
経営会議と定例会議は、何が違いますか
定例会議は日々の課題を捌く場になりやすく、経営会議は数字と目標の舵取りを決める場です。二つを同じ会に入れると急ぎの話が先に来て舵取りが後回しになるため、分けて持つほうが決まる事が増えます。
経営会議の進め方に決まった順はありますか
運営会社では、よい知らせ、数字の表、90 日の目標、IDS(特定・議論・解決)、終わりの順で毎回回しています(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。数字の表で線を割った行と、注意になった目標だけが課題に回ります。
経営会議の資料は、誰がいつ作ればよいですか
日々の記録が残っていれば、前日に資料を作る係は無くても回ります。運営会社では下準備の係を置かず、進行役の AI エージェントが当日に 1 週間の記録を読み込んで報告しています(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。
会議で結論が出ない時は、どうすればよいですか
保留にせず、決める人を先に決めておき、それでも決められない時は「決めるための To-Do」にします。やる人と終える時が付くので、翌週は同じ議論のやり直しではなく、材料がそろったかの確認から始められます。
経営会議は何曜日に開くのがよいですか
正解の曜日はなく、会社ごとに決めて一か所に書いておくことが大事です。運営会社は週報がそろった後の月曜を推す案もある中で水曜を選び、規則の紙に一行で置いています(社の実測 2026-10-26・株式会社命の判断の記録)。
出典
- 株式会社命の判断の記録(週 1 回の経営の会を、毎朝の日々の捌きの会に重ねず別に持った・下準備の係は置かず、進行役の AI エージェントが当日に 1 週間の記録を読み込む・社の実測 2026-10-26)
- 株式会社命の判断の記録(会の進め方を、よい知らせ・数字の表・90 日の目標・IDS・終わりの順にした・社の実測 2026-10-26)
- 株式会社命の判断の記録(会の曜日を水曜にし、会社ごとに決められる規則の欄に置いた・社の実測 2026-10-26)
- 株式会社命の判断の記録(進め方を共有の置き場に一枚で置き、決まらない時は社長が決め、保留を作らず決めるための To-Do にする・社の実測 2026-10-26)
- 株式会社命の判断の記録(会の画面は作らず、課題と To-Do の入口だけを作り、課題には I・D・証拠を必須にした・社の実測 2026-10-26)
- 株式会社命の規則の紙(「評定の曜日: 水曜」の一行・社の実測 2026-10-26)
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