やらないことリストとは — 会社の線は「理由」と「代わり」まで書く
やらないことリストとは、手を出さない事とやめる事を先に決め、迷わず断れるように書き残した一覧です。
- 個人の時間術のやらないことリストと、会社で働く人と AI が守る「やらない事の表」は、書き方が違う
- 会社の表は、一行ごとに「理由」と「代わりに何をするか」を必ず添える。代わりの無い禁止は守られない
- 行は事故から一行ずつ足し、どこにも書いていない線は、表に書き足すか消す
個人のリストと、会社の「やらない事の表」は別の物
「やらないことリスト」で調べると、多くは個人の時間の使い方の話です。SNS を夜に見ない、気の進まない誘いは断る、といった自分との約束で、本や時間術の記事で広まりました。守るのも破るのも自分なので、一行は短い言葉で足ります。
会社で同じ物を作ると、事情が変わります。守るのは社員や外注先、そして仕事を任せた AI エージェントで、書いた本人ではありません。書いた人の頭の中にある「なぜ駄目か」が伝わらないと、読んだ人は線の手前で止まるか、線の意味を取り違えて越えます。チームの境界線としてやらないことを決めるなら、一行の中身を増やす必要があります。
| 比べる所 | 個人のやらないことリスト | 会社のやらない事の表 |
|---|---|---|
| 守る人 | 書いた自分 | 社員・外注先・AI エージェント(書いた人ではない) |
| 一行に書く物 | やらない事だけ | やらない事・理由・代わりに何をするか |
| 行が増えるきっかけ | 気づいたとき・本を読んだとき | 事故や、事故になりかけた事が起きたとき |
| 破られたとき | 自分が反省する | 表の書き方を直す(理由か代わりが足りなかった) |
| 見直すとき | 気が向いたとき | 表に無い線が見つかったとき(書き足すか消す) |
出典: 大和ViSiON 編集部の整理(会社の側は、株式会社命の規則の紙・2026-10-26 時点の「やらない事」の表の決まりに沿って書いた)
一行ごとに「理由」と「代わりに」を添える
大和ViSiON を運営する株式会社命では、規則の紙に「やらない事」の表があります。列は「やらない事」「理由」「代わりに」の 3 列で、行を足すときは理由と代わりを必ず添える決まりです(株式会社命の規則の紙・2026-10-26 時点)。
代わりを必ず書くのは、代わりの無い禁止は守られないからです。「数字を推測で埋めるな」とだけ書かれていると、数字が取れなかった人は、空欄のまま出すか、結局それらしい数字を入れるかで迷います。「取得不能と書き、理由を添える」と代わりが書いてあれば、迷わずにその通り動けます。理由のほうは、表に無い似た場面で線を当てはめるための手がかりになります。
| やらない事 | 理由 | 代わりに |
|---|---|---|
| 推測で数字を埋める・0 で埋める | 嘘になる | 「取得不能(理由)」と書く |
| 一括の削除 | 戻せない・同期先ごと消える | 消す前に一覧を出して人の GO をもらう。消すのは一本ずつ |
| データベースの形を合わせる命令を撃つ(手元の使い捨ての試験用でも) | 形の紙に載っていない表が全部消える | 試験用のデータベースは、決まった手順でだけ作る |
出典: 株式会社命の規則の紙(2026-10-26 時点)。三行目は、社の実測 2026-04-12 の事故と、社の実測 2026-10-04(株式会社命の判断の記録)の取り決めから足した行
行は、事故から一行ずつ足す
やらない事の表は、最初に机の上で全部を考えて作る物ではありません。株式会社命の表の行も、多くは実際に起きた事から足されています。
たとえば、データベースの形を合わせる命令を撃ったところ、形を定めた紙に載っていない表が全部消える事故が起きました。その日から、この命令を撃たないという一行を表に足しています(社の実測 2026-04-12・株式会社命の規則の紙)。
事故から足す行には、理由がはっきり書けるという良さがあります。「何が起きたか」をそのまま理由の列に書けば、次に読む人にも重さが伝わります。逆に、起きてもいない事を思いつきで並べた表は、理由が抽象的になり、読む人に守る動機が残りません。
禁止は、宛先によらない
一度足した線は、場面が変わっても同じように効かせます。株式会社命では、仕事を任せている AI エージェントが、本番ではなく手元の使い捨ての試験用データベースに、あの命令を撃ったことがありました。何も適用されず、本番には触れていませんでした。それでも「手元の使い捨てでも撃たない。試験用のデータベースは決まった手順でだけ作る」と決めています(社の実測 2026-10-04・株式会社命の判断の記録)。
「本番でなければよい」と線に例外を作ると、守る側は毎回「今は本番か」を自分で見分けることになり、見分け違いがそのまま事故になります。線を宛先で分けず、代わりの手順を一つ決めておくほうが、守る側の迷いが減ります。
入れなかった線も、決めたうちに入る
やらないことを決めるのは、表に行を足すときだけではありません。「これはもう任せてよい」と線を動かすかどうかを決めるのも、同じ仕事です。
株式会社命で、社外へ送る定型の知らせを AI エージェントに任せる線を足すかどうかを決めたとき、社長は「まだちょっと危険な気がする」として、その線を入れませんでした。社外へ送る文は、定型であっても、今までどおり社長に伺います(社の実測 2026-10-24・株式会社命の判断の記録)。
線を入れなかった判断も、理由と一緒に残しておくと、次に同じ相談が来たときに一から考え直さずに済みます。やらないことリストは、禁止を増やすための表ではなく、どこまで任せてどこから伺うかの境目を書き残す表です。仕事を人や AI に渡していく順は、権限委譲の進め方に書いています。
どこにも書いていない線は、書き足すか消す
表の外にある「暗黙の決まり」は、やらないことリストのいちばんの弱点です。株式会社命では、AI エージェントが自分の手順書にだけ書いていた線について、社長から「この決まりってどこに書いてあるの?」と問われ、手順書の 4 か所を直しました(社の実測 2026-10-19・株式会社命の判断の記録)。
ある人の手元にしか無い線は、その人が守っている間は表に出ず、他の人には見えません。社長が知らない線で仕事が止まったり、逆に誰も知らない線が破られたりします。見つけた線は、会社として守るなら表に書き足し、守る必要が無いなら消す。そのどちらかに必ず決めます。社内の決まりを一か所にまとめる考え方は、社内ルールの作り方でも扱っています。
会社のやらないことリストの作り方
個人事業主でも、社員のいる会社でも、作る順は同じです。最初から行を揃えようとせず、起きた事から足していきます。
| 段 | やる事 | 終わりの目安 |
|---|---|---|
| 一、置き場を一つに決める | やらない事を書く表を、会社に一枚だけ置く。個人の手順書やメモには書かない | 「どこに書いてあるか」と聞かれたら、一つの場所を指せる |
| 二、列を三つにする | 「やらない事」「理由」「代わりに」の三つの列で表を作る | 理由か代わりが空いた行が一つも無い |
| 三、事故から一行ずつ足す | 事故や事故になりかけた事が起きたら、その日のうちに一行足す。理由には起きた事をそのまま書く | 同じ事故が二度目に起きない |
| 四、宛先で例外を作らない | 「本番でなければ」「定型なら」のような例外を線に付けず、代わりの手順を一つ決める | 守る人が、場面を見分けずに線を守れる |
| 五、表の外の線を見つけたら決める | 誰かの手元にだけある線を見つけたら、表に書き足すか、消すかを決める | 表の外に、守られている線が残っていない |
出典: 大和ViSiON 編集部の整理(株式会社命の規則の紙・2026-10-26 時点の「やらない事」の表の決まりと、社の実測 2026-04-12・2026-10-04・2026-10-19 の記録から組んだ順)
この表は、社長がいなくても回る会社の土台の一つです。ほかの土台は社長がいなくても回る会社の 5 つの条件に、手順と判断を仕組みにする全体の流れは仕組み化とはにまとめています。自分の会社が今どの段にいて、次にどこを作るかは、資産家昇格の段の地図で確かめられます。
よくある質問
やらないことリストとは、簡単に言うと何ですか
手を出さない事とやめる事を先に決めて、書き残した一覧です。個人なら自分との約束ですが、会社で作るなら、一行ごとに理由と代わりに何をするかまで書きます。
個人のやらないことリストと、会社のものは何が違いますか
守る人が違います。個人のリストは書いた自分が守りますが、会社の表は社員や外注先、AI エージェントが守るので、なぜ駄目か(理由)と、どうすればよいか(代わり)が書いていないと守られません。
会社のやらないことリストには、どんな例がありますか
株式会社命の表には、「推測で数字を埋めない(嘘になる。取得不能と理由を書く)」「一括で削除しない(戻せない。一覧を出して人の GO をもらい、一本ずつ消す)」といった行があります(株式会社命の規則の紙・2026-10-26 時点)。どの行も、やらない事・理由・代わりの三つが揃っています。
やめることリストと、やらないことリストは同じですか
ほぼ同じ物として使われます。やめることリストは今している事を手放す側、やらないことリストはこれから手を出さない事を決める側に重みがありますが、会社の表ではどちらも「やらない事」の行として一つの表に書けば足ります。
代わりが思いつかない禁止は、どう書けばよいですか
代わりが決まるまでは「人に伺う」を代わりの列に書きます。株式会社命でも、社外へ送る文は定型でも社長に伺うことにしています(社の実測 2026-10-24・株式会社命の判断の記録)。代わりの列を空けたまま禁止だけを置くと、守る人が迷い、線が守られなくなります。
出典
- 株式会社命の規則の紙(2026-10-26 時点・「やらない事」の表は やらない事・理由・代わりに の 3 列で、理由と代わりを必ず添える決まり)
- 株式会社命の規則の紙(データベースの形を合わせる命令で、形の紙に載っていない表が全部消えた事故の日に足した行・社の実測 2026-04-12)
- 株式会社命の判断の記録(手元の使い捨ての試験用データベースへの命令と、その後の取り決め・社の実測 2026-10-04)
- 株式会社命の判断の記録(手順書にだけ書いていた線を直した記録・社の実測 2026-10-19)
- 株式会社命の判断の記録(社外へ送る定型の知らせを任せる線を入れなかった判断・社の実測 2026-10-24)
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