フォルダの整理が崩れるのは、一番上を主題で分けるから

フォルダ整理のコツとしてよく挙がるのは、「階層を深くしすぎない」「ファイル名の頭に日付を付ける」「番号で並びを固定する」といった決まりです。どれも正しいのですが、これだけでは、しばらくすると崩れる会社が少なくありません。崩れる所は、たいてい一番上の段です。

一番上を「営業」「商品」「研修」のように主題で分けると、主題が変わるたびに箱の名前と中身が合わなくなります。事業の柱が増える、部署の名前が変わる、一つの資料が二つの主題にまたがる。そのたびに「どこに入れるか」を人が考え、迷った人は新しい箱を作ります。主題は後から変わるものなので、主題で分けた階層は、いつか並べ直しが要る形になります。

変わりにくいのは、その物がどれだけ生きるかです。撮ったままの生の物は二度と手を入れない。案件の途中物は案件が終われば要らない。何度も使い回す部品は残す。出来上がった物は棚に並べる。外の人に見せる物は見せる。もう触らない物はしまう。この寿命は、事業の主題が変わっても変わりません。

一番上の段を主題で分けた場合と、寿命で分けた場合
比べる所主題で分ける寿命で分ける
分ける問い何の話かこの物はいつまで生き、誰が触るか
事業が変わったとき箱の名前と中身がずれ、並べ直しが要る箱はそのまま。中の名前が増えるだけ
二つの主題にまたがる物どちらに入れるかで人が迷う寿命は一つなので、入れる先も一つ
消してよい物の見分け中を開けないと分からない箱で分かる(途中物の箱・しまう箱)

出典: 大和ViSiON 編集部の整理(一般的な分け方の比較。社の数字は含まない)

株式会社命が共有ドライブの一番上に置いた、寿命の層

大和ViSiON を運営する株式会社命は、会社の共有ドライブの一番上を、寿命だけで 7 つの層に分けました(社の実測 2026-09-24・株式会社命の判断の記録)。頭の番号は並びを固定するためのもので、主題の名前は一番上に出てきません。

株式会社命の共有ドライブの一番上の段(寿命で分けた層)
層の名前入れる物寿命と扱い
00_コンテクスト銀行撮った物・落とした物など、生の物入れるだけ。永久に残し、二度と動かさない
10_制作中案件ごとの途中物案件が終われば消える
20_素材庫何度でも使い回す部品使い回すあいだ残す
30_資産出来上がった物下は社の棚と同じ 5 つの名前(01商品資産〜05バックオフィス資産)
60_外部教材他人の物自社の物と混ぜない
80_外部共有外の人に見せる物だけ見せる相手で切る、ただ一つの箱
90_アーカイブもう触らない物年ごとにしまう

出典: 社の実測 2026-09-24(株式会社命の判断の記録・共有ドライブの一番上の 7 つの層と、30_資産の下の 5 つの名前)

この並びで目を引くのは、「見せる相手」で分けた箱が 80_外部共有の一つだけだという点です(社の実測 2026-09-24・株式会社命の判断の記録)。共有フォルダの整理でよくある「社内用」「お客様用」「パートナー用」のような分け方を一番上に持ち込まず、外に出す物だけを一か所に集めています。誰に見せているかを確かめたいときは、この箱だけを見れば足ります。

出来上がった物の層の下を社の棚と同じ名前にしているのも同じ考えです。ドライブと社の棚で呼び名が違うと、同じ物を二つの名前で探すことになります。

置き場の決まりは、正本を一か所にだけ置く

フォルダ整理のルールを作った会社が次にやりがちなのが、そのルールを共有ドライブの一番上に「整理のルール.docx」として置くことです。ところが、規則の紙にも同じことを書いていると、二枚のうち片方だけが直され、もう片方が古いまま残ります。

株式会社命は、置き場の決まりの正本を社の規則の紙の一節にだけ置き、共有ドライブの一番上には「置き場のルールは規則の紙が正本」と指す一行のファイルだけを置きました(社の実測 2026-09-24)。同じ規則をドライブに写さないのは、二枚になると片方が必ず腐るからです。ドライブを開いた人は、その一行から正本へたどり着けます。

正本に書くのは、層の名前と、何をどの層に入れるかという決まりです。逆に、層の中にあるフォルダの一覧(講座名や作者名など)は規則の紙に書きません。一覧は開けば見て分かり、書いた瞬間から中身とずれ始めるからです(株式会社命の規則の紙)。

決まりを一か所に集める考え方は、置き場に限りません。社の情報をどこに一本化するかは情報の一元化で、社内の決まりの書き方は社内ルールの作り方で扱っています。

入れる箱は、中身が無くても先に全部作る

株式会社命は、7 つの層を中身が無くても先に全部作っています(株式会社命の規則の紙・2026-10-26 時点)。社の棚は AI エージェントが書きますが、ドライブは人が毎日手で書く置き場です。入れる箱が見えないと、人はその場で新しい箱を作ります。それが、決めていない形が増えていく原因になります。

実際、ドライブにはカメラが付けた名前のまま残っているファイルがありました。名前を付け直す手間を惜しんだからではなく、入れる箱が決まっていなかったからです(株式会社命の規則の紙・2026-10-26 時点)。置き場が決まっていれば、ファイル名もその場で整えやすくなります。特定の人の頭の中にしか無い「あれはどこにあるか」をほどく考え方は、属人化の解消で書いています。

ファイル名の付け方は、寿命の箱が決まった後に決めると迷いが減ります。たとえば生の物の層では撮った日付を頭にした名前をそのまま残し、出来上がった物の層では何の物かが読める名前に付け直す、というように、層ごとに名前の決まりを変えられるからです。

フォルダの階層を移すときの順番

今あるフォルダを寿命の層に移すとき、全部を一度に組み替える必要はありません。株式会社命の規則の紙では、移すのは上の段だけで、中の深さを浅くするのは、そのフォルダを次に触るときに一つずつと決めています(株式会社命の規則の紙)。下の段まで一度に直そうとすると、整理そのものが止まった仕事になります。

古い置き場を消すときは、写し終えたことを数えてから消します。株式会社命では、改名前の古い置き場 3 か所に残っていた 140 本(21.5 GiB)を、新しい置き場に同じ大きさで写し済みであることを 140/140 数え直し、消す一覧を先に出してから 1 か所ずつ消しました(社の実測 2026-10-06・株式会社命の判断の記録)。

フォルダの階層を寿命の層へ移す手順
段やる事終わりの目安
一、層を全部作る寿命の層を、中身が無くても一番上に並べる入れる箱がすべて見えている
二、正本を書く層の名前と入れる物の決まりを規則の紙の一節に書き、ドライブには指す一行だけを置く決まりが書かれた紙が一枚だけある
三、上の段だけ移す今あるフォルダを、寿命に合わせて層の下へ丸ごと移す一番上に層以外の物が無い
四、中は触るときに浅くする次にそのフォルダを開いたとき、深すぎる所を一つずつ直す直すための時間を別に取らない
五、古い置き場は数えてから消す写した数と大きさを数え直し、消す一覧を先に出して一か所ずつ消す数が合わない物は一つも消していない

出典: 株式会社命の規則の紙(2026-10-26 時点・層を先に作る決まりと、上の段だけ移す決まり)、社の実測 2026-10-06(株式会社命の判断の記録・古い置き場を数え直してから消した記録)

置き場が決まると、仕事の材料がどこにあるかを社長に聞かなくてもよくなります。社長がいなくても回る会社に何が要るかは社長がいなくても回る会社の 5 つの条件に、自分の会社が今どの段にいるかは資産家昇格の段の地図にまとめています。

よくある質問

フォルダ整理のコツは何ですか

一番上の段を、主題ではなくその物の寿命で分けることです。生の物・途中物・使い回す部品・出来上がった物・外に見せる物・しまう物のように分けると、事業の主題が変わっても並べ直しが要りません。

フォルダの階層は、何段までにすべきですか

段の数を先に決めるより、一番上の段を寿命で固定するほうが効きます。中の深さは、そのフォルダを次に触るときに一つずつ浅くしていけば足り、一度に全部を組み替える必要はありません。

共有フォルダの整理ルールは、どこに書けばよいですか

決まりの正本は一か所にだけ書き、共有フォルダの一番上には正本を指す一行だけを置きます。同じ決まりを二か所に書くと、片方だけが直されて、もう片方が古いまま残るからです。

フォルダの一覧も、ルールに書いておくべきですか

書かないほうが崩れません。中のフォルダの名前は開けば分かり、書いた瞬間から実際とずれ始めます。ルールに書くのは、層の名前と、何をどの層に入れるかだけで足ります。

古いフォルダは、いつ消してよいですか

新しい置き場に同じ大きさで写し終えたことを数え直し、消す一覧を先に出してからです。数が合わない物が一つでもあれば、その置き場は消さずに残します。

出典

  • 株式会社命の判断の記録(共有ドライブの一番上を寿命で 7 つの層に分けた判断・社の実測 2026-09-24)
  • 株式会社命の判断の記録(置き場の決まりの正本を規則の紙に置き、ドライブには指す一行だけを置いた判断・社の実測 2026-09-24)
  • 株式会社命の判断の記録(古い置き場 3 か所の 140 本・21.5 GiB を数え直してから消した記録・社の実測 2026-10-06)
  • 株式会社命の規則の紙(層を先に作る決まり・上の段だけ移す決まり・フォルダの一覧を書かない決まり・2026-10-26 時点)